発行趣旨
3,11から間もなく4年9ヶ月になろうとしています。しかし、復旧、復興にスピード感はありません。とくに、津波に蹂躙された沿岸部に立つと、「震災復興なくして日本の再生はない」との言葉が空疎に響きます。一方で「地方創生」の新たなかけ声が力を増し始めました。
この二つを何としても結びつかせ、東北再生を実現させなければなりませんし、集中復興期間が残り半年余りになった今、具体的な姿を東北自身の手で示すことです。それが、死者への鎮魂であり、世界から差し伸べられた救いの手に応える唯一ともいえることではないでしょうか。
被災前、東北には新たな発展の芽が沢山ありました。そして、その多くが失われました。しかし、基盤となる農林水産業を始め、この危機をチャンスにする取り組みは十分可能だと思います。そのためには産学官連携という言葉だけでなく、民間を主体とした様々な挑戦に取り組むことです。
さらに、復旧・復興の過程で明らかになった、災害法制度の問題点を明らかにすると同時に具体的な提言もしたいと思います。これまで、数々の災害で指摘されながら、改善できなかったのは、時間の経過・風化のためでもあったのではないでしょうか。将来のために、大きく考え実践する一歩にしたいものです。
今後想定されている首都直下、東海、東南海、南海の3連動、そして南海トラフの巨大地震への備えに、東北の経験をどう伝え、防災・減災に役立たせるか、まさに日本の継続、維持がかかっています。人間とコミュニティーの復興を目指す「新しいふるさと東北」創りが、その視点からも日本再生につながっていくと思います。
そのために、東北再生経済研究会として「東北再生」ニューズレターを定期的に発行していきます。
研究課題
- 集中復興期間の5年は残すところ4か月余りだが、復旧・復興に様々な格差が生じています。その現状と原因を探り、具体的解決策を考え、提示していきます。
- 震災復興への関心が急速に薄れてきています。現状を認識されていないからでもあると思います。どう伝え、復旧・復興の方向に問題はないか、阪神・淡路の事例も踏まえ検証していく。できてから悔やんでは遅いと思います。
- 災害大国でありながら、災害法制度はつぎはぎだらけと言われています。阪神・淡路は根本的に見直すチャンスだったと思いますが、20年経ってしまいました。これからも大地震、大災害の発生が予測されている中で、今がラストチャンスですし、これを失すれば、日本の衰退、消失は避けられません。あの大震災に見舞われた我々だからこそ取り組むことができるのではないでしょうか。
具体的取り組みと活動
- 第1次産業の復興・再生の成功がすべてのベースになると思います。このところの政策課題のシンボル的になっている「地方創生」もこの分野を足掛かりにして初めて可能になるでしょう。そのための提言を実例を示しながら、全国に発信し、普及に貢献したいと思います。
- 防災、減災対策への提言と共に、防災産業の育成をバックアップし、新しい視点からの産業育成を考えたいと思います。と同時に被災経験地域として首都直下、東海、東南海・南海地震への備えをアピールし続けることが重要です。
- 被災地で今、起こっていること、問題点を伝え、よりよい復旧・復興の実現に結びつける、そして何より新たな取り組みが東北全体の底上げになり、「新しいふるさと東北」創りにつなげたいと思います。
- 東京と被災地との連携が益々必要になります。そのために、連絡拠点を作り、既存の組織ではなく「民」に足場を置く自由な発想で、前例にとらわれない発言と結びつきにより、震災復興と東北の再生に少しでも貢献して行きます。